Saunology -Studies on Sauna

Saunology -Studies on Sauna-

サウナについて調べ、考え、まとめるブログ。知れば知るほど、サウナにはまだまだ謎がある。その謎を解き明かしていくために、サウナについて様々な角度から考察してサウナ理解を深めます。身体で感じるだけでなく、頭で仕組みを考えるとサウナはもっと楽しい。サウナ好きがサウナをもっと知りもっと楽しむために始めたサウナ考察ブログ。 お問合せは下記までどうぞ。 saunology37@gmail.com

ちょっと昔のイベント・キャンペーン

 前回、何も意識することなく100記事目の記事を投稿していたようです。特に記事の数を気にかけずに書いていたので、記念という感じのない記事になりましたが、今後もサウナにまつわるいろいろなことを記事にまとめてみたいと思っています。

 「記念」だからということもないのですが、今回は今よりちょっと前、1990年頃~2000年頃、サウナや温浴施設が行っていたキャンペーンやイベントについて見てみたいと思います。

 

サウナの日

 「サウナの日①」でも取り上げたように、サウナのイベントと言えば3月7日ですね。1990年代には、サウナの日に献血キャンペーンをやっていたことが報じられています。

日本サウナ協会が推進する「サウナ健康の日」の七日、同協会が日本赤十字社の協力で全国献血キャンペーンをした。北九州市でも、JR小倉駅前広場や八幡西区の北九州赤十字血液センターなど三カ所であった。
全国で三万人を目標にしており、献血者にはサウナ入浴招待券が配られた。小倉北区魚町一丁目の魚町銀天街献血ルームでは、女子高校生やサラリーマン、OLら約百人が献血した*1

 献血者にはサウナ入浴招待券が配られたそうです。サラリーマン、OL、女子高校生とさまざまな人が献血をしてサウナ入浴券をもらったようです。

 また、1998年には「サウナの日」の企画として、協会の加盟店で使用できる「全国共通サウナ入泉券」を10名にプレゼントという企画もやっていたようです*2。翌年の1999年にも、「サウナの日」企画として加盟店で使える「全国共通サウナ入泉券」を2枚1組で、先着20人にプレゼントするという企画が行われました。1999年は、サウナ健康読本『SAUNABOOK』ももらえたそうです*3。入浴券がもらえる、というようなイベントは結構前からあったわけですね。

 

温泉を配るイベント

 他にも、温浴施設のキャンペーン、イベントに関する記事がありました。錦糸町の楽天地が温泉を無料宅配、というキャンペーンが1993年にあったそうです。

JR錦糸町駅前でサウナ、映画館などを経営する「東京楽天地」の関連会社「泉サウナチェーン」が、「楽天地ビル」地下六百五十メートルから湧(わ)く天然温泉を無料宅配するサービスの申し込み受け付けが、一日から都内在住者を対象に始まった*4

 申し込み者の中から抽選で選ばれた人に、温泉が無料で宅配されたそうです。当選者の中で、一番に温泉を宅配してもらった人の様子も記事になっていました。

宅配第一号は、先の抽選で三百人を超える応募者から選ばれた十人のうち、江東区豊洲五丁目の会社員酒巻純一さん(56)。天然温泉水の入ったポリ容器(二十リットル)二十数個が、「温泉宅配便」と書かれたライトバンで届けられた。
酒巻さんの妻のチエさんは、「私が病弱のため娘が応募したのですが、とても素晴らしい温泉を体験させてもらいました」と大喜びだった。
同社では、今後も九月まで無料宅配サービスを行う*5

 300人を超える応募者の中で当選者は10人。第一号の方は、病弱な娘さんが応募したとのこと、当選して温泉を家で楽しめたようで、良いですね。9月までということですから、約半年間、このキャンペーンをやっていたということですね。

 

神戸サウナ&スパのキャンペーンいろいろ

 神戸サウナ&スパはいろいろなキャンペーンを行っていたことがわかります。例えば、1999年には、選挙に行った人が割引を受けられるキャンペーンをやっています。

統一地方選の投票率アップに貢献しようと、二十四時間営業のサウナ「神戸サウナ&スパ」(神戸市中央区下山手通)は十二、十三の両日、投票所で配られる「投票済証」を持参した客に、入浴料を半額にするサービスを実施する。
フロントで「投票済証」を渡せば、午前八時から午後十一時までが千二百五十円(通常二千五百円)、午後十一時から午前五時までが千五百五十円(同三千百円)、午前五時から同八時までが七百五十円(同千五百円)となる。問い合わせは同サウナ*6

 「投票済証」を持参すると半額で入れるというキャンペーンです。8:00~23:00は通常2500円が1250円に、23:00~5:00は通常3000円が1500円、5:00~8:00は1500円が750円になるというのです。半額は結構大きいサービスですね。神戸サウナは季節感のあるイベントもやっていました。

神戸市中央区下山手通二のサウナ「神戸サウナ&スパ」前で四日、一足早いもちつきが行われ、招かれた近くの児童福祉施設「神戸真生塾」の子供たちや通行人が、つきたてのもちをふるまわれた。
もちつきは、毎年この時期に行われ、今回は、もち米九十キロを用意。せいろに入れたもち米を、ドラム缶に薪(まき)をくべて炊き、同店従業員と「神戸真生塾」の子供たち十二人がかけ声に合わせてつきあげた*7

 記事にもあるように、毎年、神戸サウナのもちつきについて新聞で報じられていました。さらに、特定の対象者に向けたキャンペーンも実施していました。例えば受験生応援の企画です。

受験勉強で疲れた心身のリラックスや脳の活性化をと、二十四時間営業のサウナ「神戸サウナ&スパ」(神戸市中央区下山手通二)は、受験票や卒業証書などを持参した人に、入浴料(二千五百円)を無料にするサービス「受験生・卒業生 一万人無料キャンペーン」を実施している。
まず、受験生を対象に始め、受験票などを示せば無料となる。十日からは卒業証書などを持参した卒業生へのサービスを加える。期間は三十一日までだが、それぞれ一万人で締め切られる。問い合わせは、同サウナ*8

 一つは受験生が受験票などを見せると無料になるというキャンペーンです。途中から卒業生も卒業証書持参でサービスを受けられるようにする、ということで、受験生・卒業生それぞれ上限1万人で行ったとのことです。ストレスの多い受験生にとっては癒しの企画、卒業生にとってはお祝い企画ですね。10代後半の受験生・卒業生への企画もあれば、高齢者向けのキャンペーンもあります。

「敬老の日」を前に、神戸市中央区の「神戸サウナ&スパ」は、温泉で気軽にリフレッシュしてもらおうと、六十五歳以上の男性の無料入浴サービスを実施している。十一日には、灘区と兵庫区の老人ホームからお年寄りを招待、露天風呂やマッサージでくつろいでもらった。
招かれたのは、長寿園(灘区)と海光園(兵庫区)の計十一人。お年寄りたちは、ゆっくりと風呂につかった後、体のすみずみまで丹念にマッサージを受け、気持ちよさそうに目を細めていた。
長寿園の吉川実さん(68)は「ここの風呂につかるのが年に一回の楽しみ。一年分の疲れをここで取っていきます」と湯船につかり、海光園の安藤孝夫さん(71)は「温泉とマッサージで、三年は若返った」と満足そうだった。
同サウナは阪神大震災で全壊。新築した一九九七年から、毎年この時期に老人ホームの入所者を招いている。橋本憲一支配人(41)は「震災後、傷ついた街で癒やしの必要性を強く感じた。普段利用できにくい人にこそ楽しんでもらいたい」と話している。無料入浴は十五日まで。老人手帳など年齢を証明できるものが必要*9

 敬老の日に合わせて、65歳以上の男性が無料で入浴できるというキャンペーンを行っていました。10代の若者から高齢者まで、幅広くキャンペーンの対象を考えていますね。

 また、阪神タイガースが18年ぶりに優勝、というときには、神戸サウナ&スパで試合を大型スクリーンで中継し、優勝決定後は駐車場でビール掛けという企画もあったそうです*10。いろいろなキャンペーン、イベントを過去にも開催していたことがわかります。

 

銭湯のイベント

 銭湯でのイベントなども新聞記事には出てきました。その背景には、家風呂の普及とスーパー銭湯の台頭があるといいます。「高温カラカラサウナが定着した理由」などでも取り上げたように、家風呂の普及で銭湯は打撃を受け、打開策としてサウナ併設にしたり、サウナに転業する、ということが1970年代には多かったわけです。さらに、2000年頃になると今度はスーパー銭湯がライバルになってきます。新聞では、「一九六〇年代には全国に約二万三千軒あった銭湯は、内風呂の普及で、二〇〇一年には約七千三百軒となり、最盛期の三分の一にまで減っている。一方、サウナや休憩室など新しい設備を充実させた「スーパー銭湯」が新たな競争相手となってきた」*11と銭湯の減少と背景について指摘されています。

 こうした背景もあり、生き残りをかけて銭湯で若者向けのイベントが盛んになっている、という記事がありました。17年前、2003年の記事です。

「―いい湯だな、ここは高円寺、小杉の湯」。ペンキ絵の富士山をバックに、お湯が抜いてある湯船のステージで、フォークシンガーの工藤崇さん(25)ら二組が登場し、ギターをかき鳴らす。洗い場などに腰掛けた家族連れや若者約三十人が手拍子を打ち、かけ声をかける。
東京・杉並区のJR高円寺駅近くにある創業八十年の銭湯「小杉湯」で、先月二十一日に行われたライブコンサートは、大変な盛り上がりとなった。この日は週一回の定休日。経営者の平松茂さん(51)が企画した。
「銭湯離れの一番の理由は、若い人たちがそっぽを向いていること。彼らに、銭湯という面白い場所があることを知ってもらおうと考えたんです」
高円寺駅周辺には、ライブハウスが多く、路上でギターなどを演奏する若者も多い。そこで、「銭湯をライブハウスに」と思い付いた。駅周辺の路上で歌っている工藤さんは小杉湯の常連客で、平松さんが出演を頼んだ。
「屋根の高い銭湯の建物で歌うのは気持ちよかった。演奏者と観客が近く、こんなに盛り上がるとは思わなかった。またやりたい」と工藤さん。平松さんも「定期的にライブを企画したい」*12

 東京都杉並区の小杉湯で、定休日にライブを行ったという記事です。また、東京都北区の殿上湯で、アコーディオン演奏とバレエダンサーの踊りを組み合わせたショーが行われるということも取り上げられています*13。その他にも、子どもたち向けのトンボ教室(東京都世田谷区、塩原湯)、就職活動中の学生向けの講演会(東京都品川区、松の湯)など、さまざまなイベントが銭湯で行われていることが紹介されています*14

 銭湯を活用したイベントというのも、なんとなく最近のものと思っていましたが、結構前から行われているのですね。

 

 今回は、新聞記事に見るちょっと前の温浴施設のイベントとキャンペーンについて見てみました。多くのお店にいつまでもそこにあってほしい、と思うと無料や半額などのキャンペーンなどではなく、ちゃんとお金を落としたいという気持ちはありますが、キャンペーンをきっかけにサウナに入る人なんかがいるのも良いことだなと思ったりします。また、今話題になっているGo Toトラベルキャンペーンも賛否両論はありますが、サウナに行かない人がサウナに入るきっかけの一つになればいいなと思います。

 

参考資料

『朝日新聞』、「贈ります」、1998年2月3日、朝刊

『朝日新聞』「サウナの日に献血キャンペーン」、1994年3月8日、 朝刊

『朝日新聞』、「サウナ入泉券プレゼント 日本サウナ協会」、1999年3月2日、朝刊

『読売新聞』「温泉無料宅配始まる 第1号酒巻さん大喜び」1993年4月14日、朝刊

『読売新聞』「『敬老』入浴贈ります 15日まで65歳以上無料 中央区のサウナ」
2003年9月13日、朝刊

『読売新聞』「 施設の子供ら招きもちつき 神戸のサウナ」、 1999年12月5日、朝刊

『読売新聞』「 受験生ら1万人に入浴無料サービス 中央区の『神戸サウナ&スパ』」、2003年3月2日、朝刊

『読売新聞』「[生活スコープ]ワイド版 銭湯、休業日も集客作戦 若者向けイベント続々」2003年8月13日、朝刊

『読売新聞』「天然温泉の無料宅配受け付けスタート 東京楽天地の関連会社泉サウナチェーン」1993年3月2日、朝刊

 『読売新聞』「投票済ませばサウナが半額 統一地方選の投票率アップへ神戸の業者」、1999年4月10日、朝刊

『読売新聞』「阪神Vへ祝賀イベント準備着々 明石の商店街や神戸などでセール、観戦会」2003年9月12日、朝刊

*1:『朝日新聞』1994年3月8日、朝刊

*2:『朝日新聞』1998年2月3日、朝刊

*3:『朝日新聞』1999年3月2日、朝刊

*4:『読売新聞』1993年3月2日、朝刊

*5:『読売新聞』1993年4月14日、朝刊

*6:『読売新聞』1999年4月10日、朝刊

*7:『読売新聞』1999年12月5日、朝刊

*8:『読売新聞』、2003年3月2日

*9:『読売新聞』2003年9月13日、朝刊

*10:『読売新聞』2003年9月12日、朝刊

*11:『読売新聞』2003年8月13日

*12:同上

*13:同上

*14:同上