Saunology -Studies on Sauna

Saunology -Studies on Sauna-

サウナについて調べ、考え、まとめるブログ。知れば知るほど、サウナにはまだまだ謎がある。その謎を解き明かしていくために、サウナについて様々な角度から考察してサウナ理解を深めます。身体で感じるだけでなく、頭で仕組みを考えるとサウナはもっと楽しい。サウナ好きがサウナをもっと知りもっと楽しむために始めたサウナ考察ブログ。 お問合せは下記までどうぞ。 saunology37@gmail.com

200の法則~女性サウナ室~

 「200の法則~男性サウナ室~」では、「200の法則」を紹介して、男性サウナ10施設について温度(華氏F)と相対湿度(%)の合計値を算出し、200との差を見てみました。今回は、女性サウナ10施設の数値を算出してみます。

 

200の法則

 「200の法則」とは、温度(華氏)と相対湿度(%)の合計が200になる時、サウナ室は多くの人にとって理想的であるとする法則でした。 

sometime referred to as the “Rule of 200” where the ideal environment for a sauna is when the % humidity + the temperature in Fahrenheit equals 200. *1

(「200の法則」とも呼ばれますが、これはサウナ室の理想的な環境は湿度(%)と温度(華氏F)の合計が200になる時であるというものです。)

 「200の法則~男性サウナ室~」で詳しく取り上げましたが、200を大きく超えない方が良い、という記述もあったことから、理想的なサウナ室環境は、温度(華氏F)+相対湿度(%)の合計が200に近く、200以下になる温湿度環境だと言えそうです。 

 「200の法則~男性サウナ室~」と同じ要領で、女性サウナ10施設の温度(華氏F)と相対湿度(%)の合計を算出し、200との差を見てみます。

 

実測結果

 男性サウナの場合と同じように、「サウナと温度 座面温度の計測~女性サウナ室~」で使用した座面温度の数値と「サウナと湿度 計測~女性サウナ室~」で使用した相対湿度の数値を用いて、温度を華氏に換算して相対湿度と足してみました。

 摂氏から華氏への換算は、今回もMetric Conversions.というサイトを使用しました。

サウナの温度と湿度

 

計算で得られた「200」との差の値を基準に、施設を再度並び替えてみました。

サウナの温度と湿度の200の法則

 

 「200の法則」は、温度(華氏F)と相対湿度(%)の合計が200に近く、200を超えない値になるのが理想的なサウナ室環境であるという指標でした。200を超えず、誤差が1桁のルビーパレスは、この条件において理想的なサウナ室環境であると言えるでしょう。草加健康センターとおふろの国は、200を超えてはいるもののその差は1桁で、この2施設もほぼ200であると言え、「200の法則」に照らし合わせると理想的なサウナ室環境であると言えます。

 男性側と比べると、200との差が1桁におさまる施設が少ないことがわかります。また、男性側の10施設では、200との差が20台の施設は2施設だけでしたが、女性側は20台が4施設、30台が2施設という結果で、200との差がより大きいということもわかります。

 「200の法則~男性サウナ室~」と同じように、「サウナと湿度 絶対湿度の算出~女性サウナ室~」で温度と湿度を用いてグルーピングした結果を見てみましょう。

 

女性サウナの絶対湿度

 Aは温度・湿度共に低めで、比較的汗をかきにくいサウナ、Bは温度・湿度が比較的高く汗をかきやすいサウナ、Cは温度・湿度・絶対湿度が高く、ロウリュなしでも十分に体感が熱いサウナ、Dは相対湿度が他の施設に比べて非常に高いが温度が低いというサウナでした(詳しくは「サウナと湿度 絶対湿度の算出~女性サウナ室~」をご覧ください)。

  この中で、快適とされている絶対湿度の湿度帯に入る施設は以下の4施設でした。

 ・草加健康センター

 ・ルビーパレス

 ・おふろの国

 ・スカイスパYOKOHAMA

  この4施設、「200の法則」の観点から見てみると、以下のところに位置します。

女性サウナの200の法則の絶対湿度

 ルビーパレス・草加健康センター・おふろの国は、200との差も1桁であり、どちらの指標で見ても理想的な数値の範囲内になります。スカイスパYOKOHAMAは、絶対湿度は40g/kg~60g/kgの間に入りますが、200との差は29にのぼり、「200の法則」と言う指標から考えると理想的なサウナ室環境とは言えないところに位置しています。これは座面温度が52.5℃であり他の施設に比べて低い温度であることが関係あるでしょう。湿度が理想的な範囲に入っても、温度が極端に低いと「200の法則」で200に近い値にはならないと言えそうです。

 

200の法則は科学的?

 この「200の法則」、何か根拠があるのでしょうか。複数の記事に見られる「200の法則」ですが、その中で科学的根拠があるというわけではないことも指摘されています。例えば、Sauna Marketplaceは「200の法則」についての記事を次のように締めくくっています。

Is the rule of 200 an exact science? Absolutely not. But it is a good way to think about how heat and humidity interact in the traditional sauna. HELO even includes it in in their sauna heater manuals and guides.*2

(「200の法則」は科学的でしょうか?もちろん、科学的ではありません。しかし、伝統的なサウナでいかに熱さと湿度が関係するかを考えるにあたり、良い方法です。HELOでは、この法則を彼らのサウナヒーターのマニュアルとガイドにも入れています。)

 科学的根拠があるわけではないけれど、サウナ室での温度と湿度の関係について考えるのは良い指標だと言えそうです。HELOのマニュアルを見てみると、確かに200の法則についての言及があります。"SECTION 6: THEORY of OPERATION CONT."というセクションで、200の法則についての言及と図が見られます。

 The “Rule of 200” suggests: “To the typical sauna bather, a sauna is most comfortable when the combination of degrees Fahrenheit plus Relative Humidity is 200 or less”.*3

(「200の法則」は次のことを示唆します。典型的なサウナ利用者にとって、サウナ室は華氏の温度+相対湿度が200かその少し低い値になる時、最も快適である。)

サウナの温湿度

(画像出典:Installation & Operation Instructions) 
 

 このマニュアルには、温湿度のことだけでなくサウナの入り方や入る際の注意点なども記載されており、図自体も面白いためまた別の記事で紹介しようと思います。

 「200の法則」は科学的な根拠があるわけではないと指摘されていますが、マニュアルに掲載されるなど、一つの指標とされる場合があるということです。

 科学的な根拠はない「200の法則」ですが、男性サウナ・女性サウナそれぞれ算出して200との差を見てみると、あながちでたらめとも言えない結果になりました。200という数字に、温度と相対湿度を足すことに科学的な根拠はないとしても、この指標は経験則に基づいて導き出された、意外と侮れないものかもしれません。

 

 今回は前回に引き続き「200の法則」について取り上げ、計測を試みた女性サウナ10施設について、200との差を見てみました。どんなサウナ室が良いかは好みももちろんありますし、絶対的な基準があるわけではないですが、いろいろな指標・角度・観点からサウナ室の環境を見ることができるのも、サウナの面白さの1つだと思いました。

 

参考文献

amerec,”More Than a Million Saunas in the US But Still Misunderstood…TyloHelo partners with the North American Sauna Society to Educate US Sauna Bathers.”

CISION PR web, "TyloHelo Inc Launches PolarSaunaUSA.com for Sauna Parts and Accessories"

HELO, "Installation & Operation Instructions"

Sauna Marketplece, "Typial Sauna Temperature, Relative Humidity, and the “Rule of 200”"

 

*1:CISION PR web

*2:Sauna Marketplace

*3:HELO