Saunology -Studies on Sauna

Saunology -Studies on Sauna-

サウナについて調べ、考え、まとめるブログ。知れば知るほど、サウナにはまだまだ謎がある。その謎を解き明かしていくために、サウナについて様々な角度から考察してサウナ理解を深めます。身体で感じるだけでなく、頭で仕組みを考えるとサウナはもっと楽しい。サウナ好きがサウナをもっと知りもっと楽しむために始めたサウナ考察ブログ。 お問合せは下記までどうぞ。 saunology37@gmail.com

サウナストーンのいろいろ

 「ストーンのサウナはカラカラ?」では、温度を上げる、湿度を調節するというサウナストーンの2つの役割を紹介しました。つまりストーンを使ったサウナ室では、サウナストーンが温度と湿度というサウナ室の要の要素を両方担っているわけです。サウナストーンには、どんな石を使うのが良いのでしょうか。今回はサウナストーンについて見てみます。

 

サウナストーンとは

 「ストーンのサウナはカラカラ?」では、ストーンの2つの役割を紹介しました。"What Are Sauna Stones and How Do They Work?"(サウナストーンとは?どんな機能?)という記事で、ストーンの役割は次の2点であるとされていました。

1. Absorb and retain heat.
2. Produce steam*1

(1.熱を吸収し、保つ

2. 蒸気を発生させる)

 つまり、サウナストーンはサウナ室の温度と湿度の両方に影響を与える重要なものであることがわかります。そもそもどうして石を使うのでしょうか。"STONES IN THE SAUNA"(サウナ室の石)では次のように説明されています。

The earliest form of the sauna was a room with a pile of rocks, without a chimney where rocks are heated by the fire with lots of wood and for a prolonged time. When the fire goes out all that heat stays contained within the rocks. The similar principle with heated rocks is in modern saunas*2

(最も原初的な形のサウナは、石が積み上げられた部屋でした。煙突はなく、石はたくさんの薪を燃やした火で長時間温められれいました。火が消えてしまっても、その熱は石に閉じ込められたまま残りました。この温められた石と同じ原理を、現代のサウナも用いています。)

Sauna - Wikiwand

(画像出典:Sauna - Wikiwand

 電気やガスがなかった太古の昔から、温めた石に熱をこもらせるという形でサウナ浴がなされていたということです。

 大昔から部屋に熱をこもらせる方法の一つとして石を温めるという方法がとられていたことがわかりました。温度にも湿度にも寄与するこのサウナストーン、どのような石を使うのが良いのでしょうか。大きさについて、次のような記述がありました。

The usual size of stones is between softball and golf ball, which means in diameter 20-30 cm. This is the best choice*3.

(普通、石の大きさは直径20cm~30cmくらい、ソフトボールとゴルフボールの間くらいです。これが最も良い大きさです。) 

 直径20cm~30cmが最適のようです。また、石の大きさの違いは、サウナ室の温度や湿度にも影響があるようです。

Different size sauna rocks hold heat (thermal mass) differently and release steam differently from a water being tossed on hot sauna rocks.(中略)Bigger stones hold more heat, while smaller react quicker to the water when turning it into vapor. Combination of different sizes of rocks is the best*4.

(サウナストーンのサイズが異なると、熱(熱量)のもち方が異なり、水をかけた時の蒸気の発し方も異なります。(中略)大きい石はより多くの熱をもつことができる一方、小さい石は水をかけた時にすぐに反応して蒸気を発生させます。異なる大きさの石を混ぜるのがベストです。)

 次のような指摘もあります。

The heavier the rocks you use, the longer they will retain the heat. Rough surfaces on your rocks help to disperse the steam more gently*5.

(重たい石はより長く熱をもちます。表面が粗い石は蒸気がよりゆるやかに拡散します。)

 大きい石の方が多くの熱をもつことができ、小さい石の方が水を蒸発させるスピードが速い、というのです。石の表面の粗さもロウリュの蒸気に影響があるようです。ロウリュができるサウナ室では、いろいろなサイズの石が混ざっている方がよさそうです。ロウリュをしないストーンを使ったサウナ室の場合は、同じサイズばかりでもよいのでしょうか。

 石の積み方という観点からも、石のサイズはばらつきがある方が良いようです。"it is a good idea to have a variety of sizes to make sure they're stacked nicely."*6(うまく積み上げられるようにいろいろな大きさの石を用意すると良いです)という指摘があります。石の並べ方については、次のように説明されています。

Sauna stones should be arranged with the largest at the bottom and smallest at the top, remembering to allow plenty of space for airflow between them. Don’t spread the stones too sparsely though - you want them to catch the water when you pour it on, not let it trickle down into the heater.

(サウナストーンは、一番大きいものを下の方に、小さいものを上に配置し、石の間に空気が流れるのに十分なスペースを確保しましょう。ただしスペースをとりすぎると水がヒーターにかかってしまうので、間隔をあけすぎてもだめです。)

 やはり石のサイズにはばらつきがある方がよさそうです。石の種類にはどのようなものがあるのでしょうか。

  

サウナストーンの種類

  サウナストーンにはどのような石が使われているのでしょうか。メトスのHPでは次の2種類の石が販売されていました。

 

・香花石(サウナストーン)

サウナ ストーン

(画像出典:METOS HP

 香花石、HPでは次のように紹介されていました。

硬い地盤の国土で知られるフィンランドより採掘しました。
古くからフィンランドのサウナで使われている天然のサウナストーンです*7

 

・KERKES(ケルケス)ストーン

サウナ ストーン

(画像出典:METOS HP

 こちらは次のように説明されています。

耐久性にすぐれた、人工のセラミック製サウナストーンです。
石のくぼみに水分がたまりやすく、ロウリュに最適な構造が特徴です。

 確かに両方よく見る石ですね。ケルケスストーンは人工セラミック製だったのですね。

 ちなみに、海外のサウナオンラインショップSAUNA INTERのSauna stoneのページには、いろいろな石が載っていました。 

サウナ ストーン

(画像出典:SAUNA INTER

  あまり見慣れないものもあり、チョイスが多いです。

 

サウナストーンに適した石

 いろいろな石が使われるようですが、どのような違いがあるのでしょうか。サウナストーンに適した石について、次のように指摘されています。

The best stones for saunas are igneous, heavy and rough surfaced stones. Peridotite, olivine (which also has a soothing green colour) and vulcanite are all good choices for this, but granite and other igneous rocks can be used as well. *8.

(最もサウナに適している石は、重く、表面の粗い火成岩です。かんらん岩、かんらん石(落ち着いた緑色の)とバルカナイトが良いですが、
花崗岩や他の火成岩も使えます。)

 他のところでも似たような指摘がありました。

There is a good argument that Igneous rocks, otherwise known as volcanic rocks, make the best type of sauna rocks. Granite rocks, which are from the Igneous family, are a good option as they have better thermal mass.This means they have a greater ability to absorb and store heat energy, creating a better sauna experience for you*9.

(サウナには火山岩として知られる火成岩が最も良いサウナストーンだという良い主張があります。火成岩の一つである花崗岩は、熱質量が優れているため良い選択です。つまり、この石は熱を吸収し、放つ能力が高く、良いサウナ体験を提供できるということです。)

 種類としては、火成岩が良いようです。そもそも火成岩とは何なのか、国立研究開発法人海洋研究開発機構の「岩石の種類」をもとに岩の種類をまとめてみました。

サウナストーン

 

 サウナストーンとしては火成岩が良いと書いているところが多いです。メトスが販売している「香花石」(サウナストーン)とは何かも調べてみると、石の種類としてはかんらん岩、斑れい岩、閃緑岩、花崗岩などが使われているそうです*10

 

花崗岩

サウナ 石 ストーン

(画像出典:国立研究開発法人海洋研究開発機構)

 

斑れい岩

サウナ ストーン 石

(画像出典:Wikipedia)

 

閃緑岩

サウナ 石 ストーン

(画像出典:Wikipedia)

 

サウナ 石 ストーン

(画像出典:Wikipedia)

 

 サウナストーンには火成岩が良いとのことですが、他の石はどうなのでしょうか。"STONES IN THE SAUNA"では、堆積岩は"break easily and lightweight"(軽くて壊れやすい)、変成岩は"Heavy and dense"(重くて密度が濃い)とし、最も良いのは花崗岩であるとしています*11。やはり火成岩が向いているということですかね。

  

 サウナストーンの手入れ

 サウナストーンは手入れも必要だそうです。「ビールロウリュ」では、水以外のものを客にかけられてしまった時の石の手入れについて、石を水と液体洗剤もしくは塩素系漂白剤の混合液に浸してスポンジ等できれいにした後で、再び純水に浸しましょう、と書かれており、この作業は"a process that should take place weekly under normal circumstances, anyway"*12(どっちにしても毎週、通常の環境でも行うプロセス)とされていました、つまり水以外のものをかけた場合以外にも、店の場合は週に一回は石の洗浄をした方が良いということです。

 プライベートサウナを想定している"STONES IN THE SAUNA"には、次のように書かれています。

Once a year clean the rocks and change them every two years. Bigger stones can be used longer, five to six years*13.

(年に1回石を洗って、2年おきに交換しましょう。大きい石の場合は5~6年ともっと長く使うことができます。)

 洗うのは年に1回で良いようですが、そもそも石は定期的に交換が必要ということです。また、自分で石を選ぶ場合、長時間水に浸かっていたような石は避けた方がよいということも指摘されており、そうでなくても石は割れるので交換が必要であることも指摘されています。

If the stones have absorbed any moisture, the high heat can turn it into steam inside the stone, which may make it shatter. the rocks in your sauna will eventually crack over time anyway, and should be replaced as necessary*14.

(石が湿気を吸収した場合、高温により石の中で蒸気が発生し、石が割れる可能性があります。サウナストーンは、いずれにせよいつかは割れるので必要に応じて交換する必要があります。)

 

 定期的にメンテナンスが必要なわけですね。

 

おまけ

 最後に、ロシア語のサイトに載っていたサウナストーンの資料を紹介します。「サウナストーン(サウナヒーターのための岩石)」というこの資料、サウナストーンとして使えるいろいろな石と、★がついています。わかる範囲で石の名前を調べてみました。

サウナ 石

(画像出典:БАНЯ-ЭКСПЕРТ.сом

(上3つ)

ネフライト

翡翠

ジャスパー

(左側)

クロマイト

黒ライト混合屑鉱物

石英

かんらん岩

ポーセリン

(右側)

クオーツ

ばら輝石

斑れい岩

鋳鉄

 ★が何をあらわしているのかわかりませんでしたが、よく使われる斑れい岩の★が1つなのが気になります。この画像が載っているパートは安全性の話をしているパートでしたが、★が安全性かはわかりませんでした。もう少し詳しく読み解いてみたいです。

 

 今回はサウナストーンについて見てみました。温度と湿度を左右するサウナストーン、自分のサウナがあったあら、種類や大きさ、置き方にもこだわってみたいものです。

 

参考文献・資料

Aqua Living Stores, "What Are Sauna Stones and How Do They Work?" (最終アクセス日:2020年5月23日)

BUILD, "How to choose stones and accessories for saunas"(最終アクセス日:2020年5月23日)

METOS HP「サウナストーン」(最終アクセス日:2020年5月23日)

MY OWN SAUNA, "STONES IN THE SAUNA"  (最終アクセス日:2020年5月23日)

Paul Steinbach. "Cleansing Rituals", Athletic Business.

SAUNA INTER

SAUNA SAMURAI "Sauna Rocks (A Simple Buying Guide)"(最終アクセス日:2020年5月23日)

БАНЯ-ЭКСПЕРТ.сом

浴場市場

*1:Aqua Living Stores

*2:MY OWN SAUNA

*3:MY OWN SAUNA

*4:同上

*5:BUILD

*6:BUILD

*7:METOS HP

*8:BUILD

*9:SAUNA SAMURAI

*10:浴場市場

*11:MY OWN SAUNA

*12:Paul Steinbach

*13:MY OWN SAUNA

*14:BUILD