Saunology -Studies on Sauna

Saunology -Studies on Sauna-

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湿式サウナと乾式サウナ

 サウナと言えばドライサウナを指すことが多いですが、ミストサウナ、スチームサウナなど湿度が高い、いわゆる湿式サウナもあります。あそこはミストサウナ?いやスチームサウナだったかな、と区別が少々曖昧になりがちな湿式サウナ。今回は、スチームサウナやミストサウナなどの湿式サウナについてまとめてみます。

 

湿式サウナとは

 通常「サウナ」というといわゆるドライサウナを指すことが多いです。熱源が遠赤外線ヒーターにせよ、ストーンを使うヒーターにせよ、湿度が低く、温度が高いサウナ室が乾式サウナとされています。乾式サウナは70℃~100℃程度、湿度は相対湿度で20%以下のことが多いです。サウナ室によって湿度にも温度にも差はありますし、ロウリュをするかどうかという違いもありますが、基本的にヒーターの「熱」により温まるのが乾式サウナと言えるでしょう。

 一方、湿式サウナは低い温度で、水蒸気などによって部屋を熱くする湿度の高いサウナ室です。家庭用のスチームサウナなどを販売している株式会社アルデのホームページでは、スチームサウナは水蒸気で40℃~50℃の室温にするサウナ、と説明されています。温度帯が乾式サウナと大きく異なることがわかります。湿度が低く40℃~50℃では温まりませんが、スチームサウナは水蒸気によって湿度が非常に高いので、体感は熱くなります。ボイラーで水蒸気を発生させ、その水蒸気によって温まるのがスチームサウナです。

 北米サウナ協会(North American Sauna Society)によると、乾式サウナは約65℃~90℃で、湿度はロウリュをしてもすぐに10%前後になる程度であり、湿式サウナは約43℃~48℃で、湿度は100%だといいます*1。湿度に関しては、東京ガスのホームページでも、湿式サウナの湿度は90%~100%であるとされています*2。温度については、北米サウナ協会では約65℃~90℃となっていますが、日本の乾式サウナはもう少し高く、約70℃~100℃くらいですね。

 湿式サウナで言うと、もう一つミストサウナというものもあります。あそこはスチームサウナ、いやミストサウナかな、と少々曖昧になることもあると思います。ミストサウナの定義を調べると、「温水をノズル(噴射管)で噴霧する方式のサウナ。高温の蒸気を使用する通常のサウナに比べ、身体への負担が少ない」*3とされています。株式会社アルデのホームページでは、次にように違いが説明されていました*4

スチームサウナとミストサウナ

 

 つまり、どちらも低温高湿の湿式サウナではありますが、気体である「蒸気」で温めるのか、液体である「霧」で温めるのかという違いがあるわけです。スチームサウナは下から、ミストサウナは上から、と思っている人もいると思いますが、実際蒸気は下から上に向かい、霧は上から下に降ってくるわけですね。ときどき、もはやシャワーに近い、という水の粒の大きいミストサウナがありますが、そういうミストサウナに入るとミスト(霧)は液体というのがわかりやすいです。

 TYLOHELOのホームページでは、家庭用スチームサウナと家庭用ミストサウナについて、入浴感と美容効果についてそれぞれ次のようにまとめています*5

 

家庭用スチームサウナ

【入浴感】

足元のスチーム噴射口から蒸気が噴き出る。

水の粒が非常に細かいので全く不快感がない。

 

【美容効果】

全身が高濃度スチームに包まれるので、潤いを保ちながら新陳代謝を促す。

入浴後も肌がしっとりし、髪の乾燥も防ぐ。

足元からスチームが噴き出すので冷え性の改善が期待できる。

 

家庭用ミストサウナ

【入浴感】

水の粒子が頭上から降ってくる。

冬場は少し肌寒く感じる場合もある。

 

【美容効果】

全身浴と比べて、肌にやさしく、身体に負担をかけない。

洗浄効果、保湿効果、リフレッシュ効果が期待できる。

 

 同じ湿式サウナでも、スチームとミストとでは粒子の大きさが違い、下から蒸気がくるか、上から霧が降ってくるかの違いがあります。とはいえ、温湿度帯はスチームサウナとミストサウナはほぼ同じとのことで、まとめて湿式サウナとされるわけですね。

 

 乾式サウナと湿式サウナの違いを以下にまとめてみました。 

ドライサウナとスチームサウナとミストサウナ

 

 英語ではsauna(乾式サウナ)、steam room(湿式サウナ)と言うようで、湿式の方にsaunaという言葉は使わないようです。日本の泉興行株式会社のホームページでも、ミストサウナの説明には「厳密にいえばサウナとはいえない」*6と書かれています。しかし日本ではミストサウナ・スチームサウナという呼称もあり、湿式サウナという言い方もあるので、この記事でも乾式サウナ・湿式サウナという表現を使います。

 

湿式サウナの入り方

  温湿度が乾式サウナとは大きく異なる湿式サウナですが、入り方は同じなのでしょうか。株式会社アルデの「スチームサウナの入り方」には、次のように書かれていました*7

①身体をよく洗う

②スチームサウナの座席にタオルなどを敷く

③蒸気の中でリラックスする

④水分をとる

⑤最後にもう一度、温度の低めのシャワーを浴びる

⑥すぐに衣類を着ないで、身体が適度に冷えて開いた毛穴が閉じるまでゆっくりくつろぐのがおすすめ

 

 こちらで販売しているスチームサウナの設定可能温度は35℃~55℃で、「最も快適な入浴温度は、40~45℃と言われていますが、お好みの温度を見つけてください。湿度100%のため、汗が蒸発せず、5分から10分で汗がふきだし身体がしっかりと温まります。スチームサウナルーム内にシャワー設置をおすすめします。温まった後、場所を移動することなく汗を流せます」*8と書かれています。中で水をかぶったりシャワーを浴びることができるのは、乾式サウナと大きく違うところですね。

 TYLOHELOのホームページに記載されているスチームサウナの入り方は次のようなものでした。

サウナ スチーム

(画像出典:TYLOHELO HP)

 

 汗をかいて、リラックスしてクールダウン、という流れは乾式サウナと同じですが、基本的にシャワーでのクールダウンと書かれていることが多いです。スチームサウナ・ミストサウナは家庭用に関する記述が多いためでもあると思いますが、経験上、やはり温度が低いため、水風呂に入るほどは温まらないように感じます。湿度により体感温度は熱いとは言え、やはりゆるやかに温まり、シャワーなどでゆるやかにクールダウンするのが湿式サウナの楽しみ方と言えそうです。

 

湿式サウナの効果とされるもの

 湿式サウナにはどのような効果があるとされているでしょうか。先ほどの株式会社アルデのホームページでは次のように説明されています。

ドライサウナに比べて、低温のため、小さいお子さんからご年配の方まで、幅広い年齢の方にご利用いただけます。湿度が高いので、肌や髪にとって大敵な乾燥から守り、汗が蒸発しないため、5分から10分程度でジワジワと汗をかきます。スチームサウナは、もともと、水を利用していますので、シャワーの併設が可能です。特別にサウナスペースを作る必要がなく、今ある浴室、これから予定しているバスルームに取り付けることが可能です*9

 

 また、「スチームサウナ、その嬉しい効果とは?」という記事では、次にようにその効果が説明されています。

湿度が高いために保湿効果が高く、室内に広がった暖かい霧でゆっくりと熱が身体に伝わり発汗作用をうながしてくれます。その結果、普段閉じている毛穴や汗腺の機能が働き始め、質の良い汗をたっぷりかく事ができます。また皮脂腺も活発化し、毛穴の奥に詰まった汚れや皮脂も排出され健康な肌が蘇ります。さらにニキビ改善にも効果があるとされています。(中略)そしてスチームサウナの温熱効果により、全身の血行の流れが良くなります。血行が良くなると体内の栄養素・老廃物の除去の流れがスムーズになり、自律神経が安定してストレスが解消されます*10

 

 湿式サウナの効果について、湿式サウナと乾式サウナの効果を比較した海外の記事では、次のような指摘もありました。

While a sauna may help relax and loosen your muscles, it won’t have the same health benefits of a steam room. The key to the steam room’s unique health benefits is the humidity.*11

(乾式サウナは、筋肉をリラックスさせ、緩めることができますが、湿式サウナと同じ健康効果を得ることはできません。湿式に特有の健康効果の鍵は、湿度です。)

 

 湿度が高い分、乾式サウナ以上に健康効果を得られるというのです。湿式サウナで得られる効果としては、循環器系の改善、血圧を下げる、ストレス解消、うっ血を防ぐ、肌をきれいにする、などがあげられています。一方、リスクとして、長く入りすぎないことや、細菌に注意することなどもあげられていました。

Steam rooms have plenty of potential health benefits, but they can be harmful if you overuse them. Staying in a steam room for more than 15 minutes can dehydrate you.(中略)The steam isn’t hot enough to kill some types of bacteria, and the warmth may even increase the number of bacteria.

(スチームサウナは潜在的な、さまざまな健康上の利点がありますが、使いすぎると害があります。15分以上スチームサウナにいると、脱水症状を引き起こす可能性があります。スチームサウナはバクテリアを殺すほどの熱さはなく、温かさによってバクテリアの数が増えることもあります。)

 湿度が高い分、乾式サウナ以上に気を付けなければいけない面もありそうです。

 湿式サウナの効果について、SpaKhakaraのホームページでは①美肌効果、②デトックス効果、③安眠効果があげられています。

 デトックス効果については、「サウナと汗 デトックス効果は都市伝説」でも発汗にデトックス効果は期待できないことを指摘しました。デトックス効果をのぞき、湿式サウナの効果・利点としてあげられていることをまとめると以下のようになります。

・温度が低いため誰でも入りやすい

・湿度が高いため乾燥から髪や肌を守る

・汗が蒸発しないため短時間で発汗できる

・発汗し毛穴が開くため肌がきれいになる

 ・循環器系・血圧など健康効果がある

・ストレス解消になる

・安眠できる

 

 温度が低いため、幅広い層の人が入ることができる、湿度が高い、という点は湿式サウナの特徴と言えそうです。温度が低い分、身体への負担が少なく子供や高齢者でも入りやすい、という点が湿式サウナのメリットとしていろいろなところであげられていました。発汗量が多いということもよく書かれていますが、実際に湿式サウナでは短時間で発汗ができるのでしょうか。乾式サウナと比べて、効果に違いがあるのでしょうか。

 

 今回は湿式サウナについてまとめてみました。次回は、実際に乾式サウナとの違いがあるのかどうか、さらに詳しく見ていきます。  

  

参考文献・資料

ENEGYQUEST「スチームサウナ、その嬉しい効果とは?」2016年2月29日(最終閲覧日:2020年8月1日)

healthline."Steam Room Benefits for Your Health" 2017/6/28(最終閲覧日:2020年8月1日)

Pirie, Kaitlyn. "Steam Room vs. Sauna: Which Is Better for You?" GOOD HOUSEKEEPING, 2020/3/3(最終閲覧日:2020年8月1日)

SpaKhakara「コッソリ教えちゃう♪スチームサウナに隠された3つの効果」2015年9月11日(最終閲覧日:2020年8月1日)

TOKYO GAS HP「自宅に欲しい!【ミストサウナ】の効果5つとおすすめの入り方」2017年12月21日(最終閲覧日:2020年8月1日)

TYLOHELO HP 「家庭用スチームサウナ スチームサウナの特徴」(最終閲覧日:2020年8月1日)

泉興行株式会社HP「サウナとは?」(最終閲覧日:2020年8月1日)

株式会社アルデHP「スチームサウナとは」(最終閲覧日:2020年8月1日)

株式会社アルデHP「スチームサウナの入り方」(最終閲覧日:2020年8月1日)



 

*1:Pirie, Kaitlyn

*2:TOKYO GAS HP

*3:大辞林 第三版

*4:株式会社アルデHP

*5:TYLOHELO HP

*6:泉興行株式会社

*7:株式会社アルデHP

*8:同上

*9:同上

*10:ENEGYQUEST

*11:healthline