Saunology -Studies on Sauna

Saunology -Studies on Sauna-

サウナについて調べ、考え、まとめるブログ。知れば知るほど、サウナにはまだまだ謎がある。その謎を解き明かしていくために、サウナについて様々な角度から考察してサウナ理解を深めます。身体で感じるだけでなく、頭で仕組みを考えるとサウナはもっと楽しい。サウナ好きがサウナをもっと知りもっと楽しむために始めたサウナ考察ブログ。 お問合せは下記までどうぞ。 saunology37@gmail.com

サウナの創作

 漫画「サ道」でサウナに興味を持ったという人も少なくないかもしれません。「サ道」は昨年ドラマ化もされました。他にも、サウナを題材にした漫画やドラマなど、最近よく見かけるようになり、サウナの創作は「サウナブーム」の一つの側面とも言えるでしょう。しかし、サウナの創作はもっと昔からあるようです。今回は、サウナの創作についてまとめてみます。

 

サウナマン

 「家庭用サウナのあれこれ」で子ども用のサウナなどを紹介したサニーペットは、1985年の2月に「サウナマン」というアニメキャラクターを誕生させています*1。「サウナマン」はサニーペットのサウナのCMで使われた他、雑誌「新しいすまいの設計」の別冊として出版されています。

 当時の新聞の家庭用サウナの広告にも、「サウナマン」を先着10,000人にプレゼントという企画が掲載されています。

サウナ 創作

(画像出典:『朝日新聞』1985年3月26日)

 

 1985年の『読売新聞』には、「サウナマン」 の設定なども書かれていました。

太っちょの「家野太郎」君はドジでさえないダメ少年。いつも「強くなりたいなあ」とため息をついていました。ある日謎の老人からもらった不思議石〈サウナストーン〉のおかげで大変身!愛と勇気のヒーロー〔サウナマン〕の活躍が始まります*2

 謎の老人にもらった〈サウナストーン〉でさえない少年がサウナマンに変身して活躍するという物語です。

サウナ 創作

(画像出典:『読売新聞』1985年3月9日 広告)

 このサウナマン、もっと詳しく中身を読んでみたいと思い、サニーペットにどうにか読む方法はないか問い合わせてみたところ、「大変恐縮ですが、サウナマンの漫画は現在発行しておりません。御理解の程、どうぞ宜しくお願い申し上げます。今後ともサニーペットサウナをどうぞ宜しくお願い致します。」という丁寧なお返事をいただきました。

 

サウナ 創作

(画像出典:『読売新聞』1985年4月13日)
 

 新聞の広告から、サウナキック(100度の入浴)、サウナパンチ(サウナストーン)で太りすぎや運動不足と戦うようだということはわかりました。サウナマンの活躍を垣間見ることができるCMもありました。

youtu.be

 変身の様子とサウナキックの様子がわかりますね。CMでも、家庭用サウナを買おう、という流れになり、新聞の広告にも「サニーペットの本格ホームサウナで、スリムでパワフルなサウナマンにあなたもなれます」*3と書かれているように、サウナマンは家庭用サウナの広告の一つとして生まれたサウナキャラクターだとわかります。

 ちなみに、同じタイトル「サウナマン」という漫画は2018年にもwebで公開されました。こちらは宮川サトシによる漫画で、全5話のサウナ漫画です。

news.livedoor.com

サウナ 創作

(画像出典:livedoorNEWS サウナマン第一話「訪問」)

 

 また、2019年8月から放送されたABCテレビのドラマは「サウナーマン」という題名でした。ABCテレビのホームページでは、次にようにドラマの内容が紹介されてます。

サウナの中では、外見も。地位も。名誉も。関係なし。
オレンジ色に火照った男たちの汗が滴り落ちるサウナを舞台に
10年間涙を流していないヨシトモ(眞島秀和)が
サウナにやってくる様々な客たちの熱い人間模様を通じて
心を取り戻していく人情ドラマ短編集!*4

 

 1985年のサウナマンから、30年以上、新たなサウナマンやサウナーマンが生まれています。

 

サウナレディ

 サウナの創作と言えばやっぱりサウナ「マン」なのか、と思いきや、サニーペットは女性を中心としたサウナ漫画「サウナレディは美しく!」も作っています。「実用マンガサウナシリーズ」の一つのこちら、現在もHPから読むことができます。

www.sanypet-sauna.co.jp

 

 大学の同期がホームサウナのおかげできれいになったのを受けて、自分の家にも家庭用サウナの購入を考える女性の物語です。

サウナ 創作

(画像出典:サニーペットHP)

 

 家庭用のサウナはフィンランド式で、ロシア風の「蒸し風呂」とは違うことなどが説明されています。美容に良いということも、クリニックの医師から説明されています。なんやかんやあって、女性は自分の家にサウナを設置することになります。

 

サウナ 創作

(画像出典:サニーペットHP)

 

 1980年代、家庭用サウナの広告がいろいろ出る中で、サウナ漫画も宣伝用に作られていたようです。

 

サウナと喜劇

 2019年は「サ道」や「サウナーマン」など、サウナが舞台のドラマも放送されました。過去にもサウナはいろいろな創作物の中に登場してきました。過去の新聞を見てみると、サウナは喜劇の舞台にもなっているのがわかります。

 例えば、1999年には、サウナが舞台のコメディが上演されています。「スティーミング」というこの舞台、日本では1999年の7月16日~25日まで、恵比寿のエコー劇場で上演されました。もともとは、イギリスの女性作家ネル・ダンの戯曲で、イギリスでは1981年~1984年まで上演されたそうです。内容は次のようなものだったそうです。

ロンドンの下町にある古びた女性用公立サウナを舞台に、男運が悪く借金に追われるジョージィ(火野カチコ、丸山真奈実交互出演)、ボヘミアンのジェーン(岡のりこ、野口絵美交互出演)ら六人の女たちが文字通り、裸の付き合いの中で、本音を吐露しあう。だが、サウナに突然、取り壊し令が……。*5

 日本での上演は、舞台を東京・下谷に翻案して行われたそうです。舞台の内容もですが、1980年代のイギリスの女性用公立サウナがどういうものだったか気になります。

 サウナを舞台にした喜劇は、2002年にも上演されています。2002年2月6日~2月11日に両国シアターXで上演された「笑う女。笑われる男」は温泉旅館のサウナ内を舞台とした喜劇だったそうです。新聞では、次のように紹介されていました。

今にもつぶれそうな温泉旅館のサウナ内を舞台にしたドタバタ喜劇。作・演出の伊沢は「照れくさいせりふをちりばめました。タオル一枚ですから衣装にも頼れません。裸のような状態で、俳優が存在感ある演技を出来るか、挑戦したい」と再出発の意気込みを語っている*6

 サウナ室内が舞台とあって、役者たちもタオル一枚姿だったようです。

 最後に、日本の舞台ではなく、かつサウナだけが舞台のものではないですが、中国の舞台で高級サウナが出てくる例を紹介します。2007年5月~6月にかけて中国の上海で上演された「兄弟」は、拝金主義への痛烈な風刺が込められた演劇だそうですが、新聞には主人公の李光頭が高級サウナの開業式典であいさつするシーンの写真が掲載されています*7

サウナ 創作

(画像出典:『読売新聞』2007年7月4日)

 

 演劇の舞台にサウナが用いられたり、演劇にサウナの場面があるというケースも探すといろいろありそうです。

 サウナをコントの舞台としているものといえばドリフを思い出す人も多いかもしれません。

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 コントを含めて、サウナは喜劇の「舞台」にもしばしば使われるということですね。

 

 今回はサウナの創作について見てみました。昔からサウナの創作はあるわけですが、家庭用サウナの広告や、喜劇・コントの舞台設定の一つとしてのサウナの創作と比べると、サウナやサウナの入り方そのものをみせる「サ道」のような最近の創作物はまた違った意味があるようにも感じます。今の「ブーム」の特徴の一つと言えるかもしれません。

 

参考資料

『朝日新聞』朝刊、1985年3月26日 広告

サニーペットHP「会社概要」

『読売新聞』朝刊、1985年3月9日 広告

『読売新聞』朝刊、1985年4月13日 広告

『読売新聞』「サウナ舞台に女性の本音 テアトル・エコーが『スティーミング』上演」、夕刊、1999年7月15日

『読売新聞』「裸で再出発 ビッグフェイスが新作喜劇」、夕刊、2002年2月4日

『読売新聞』「中国で『成り金』風刺演劇人気 バブル社会に警鐘 富を得ても満たされぬ心…」、朝刊、2007年7月4日

 

 

*1:サニーペットHP

*2:『読売新聞』1985年3月9日

*3:『読売新聞』1985年4月13日 広告

*4:ABCテレビHP「サウナーマン」

*5:『読売新聞』1999年7月15日

*6:『読売新聞』2002年2月4日

*7:『読売新聞』2007年7月4日