近世は蒸し風呂(広義のサウナ)から湯風呂への移行期と言えます。近世には、半分蒸気浴・半分温湯浴の形式の風呂が登場するなど、蒸し風呂も進化していきます。
中世については風呂の形式がわかる絵画資料もあり、この頃には広く蒸気浴(広義のサウナ)が行われていたことがわかっています。
『枕草子』に石を使った塩風呂が出てくる、だから平安時代には石を使った蒸気浴(広義のサウナ)があったのだ、という文献をいくつか見かけました。しかしながらこの記述、実際に『枕草子』に出てくるものではなさそうです。
平安時代には「ユヤ」という言葉があらわれ始め、平安末期には「フロ」という言葉も見られるようになり、この頃から屋形を構えた蒸気浴(広義のサウナ)施設も登場したと推察されています。
日本人は古代から蒸気浴(広義のサウナ)をしていたようで、自然を利用した蒸気浴形式の風呂が西日本に昔からあったことがわかっています。
日本の入浴の歴史は長い間蒸気浴が中心で、今のようにサウナがブームになる下地は古代から私たちのDNAに刻み込まれているのかもしれません。
サウナと言うとフィンランドのサウナやロシアのバーニャを「本場のサウナ」とイメージしがちですが、広義のサウナは「蒸気浴」全般を指し、世界各地にある沐浴のスタイルの一つです。