Saunology -Studies on Sauna

Saunology -Studies on Sauna-

サウナについて調べ、考え、まとめるブログ。知れば知るほど、サウナにはまだまだ謎がある。その謎を解き明かしていくために、サウナについて様々な角度から考察してサウナ理解を深めます。身体で感じるだけでなく、頭で仕組みを考えるとサウナはもっと楽しい。サウナ好きがサウナをもっと知りもっと楽しむために始めたサウナ考察ブログ。 お問合せは下記までどうぞ。 saunology37@gmail.com

サウナと湿度 計測できるのか

サウナ室の湿度

 「サウナと湿度 体感湿度」では、サウナ室の相対湿度が一般的に5%~15%と言われていることから、5%と15%の時の高温環境下での水蒸気量を計算してみました。サウナ室の相対湿度は、実際5%~15%なのでしょうか。また、絶対湿度はどのくらいなのでしょうか。

 市販の湿度計を見てみると、どれも単位は%です。つまり相対湿度を測るものということになります。相対湿度を測る湿度計をいくつか購入して計測を試みながら、市販の湿度計でサウナ室のような高温環境下で使えるものがあるのか、また絶対湿度を測ることができる湿度計は売っているのか、湿度計についていろいろと調べてみました。

 湿度計について調べていたところ、温湿度マイスター武田さんという方のブログにたどりつきました。 この方、まさに湿度のプロ…!

温湿度マイスター

株式会社第一科学
特機事業部長
JCSS技術委員会湿度分科会委員
NPO法人気象システム技術協会理事

 

www.daiichi-kagaku.co.jp

 

ブログには湿度のこと、湿度計のことなどがまとめられている他、湿度に関する質問を受け付ける質問フォームもありました。早速、サウナ室の湿度測定方法について質問してみました。

 

サウナ室で使える湿度計はあるのか?

 温湿度マイスター武田さんに、「サウナ室で絶対湿度・相対湿度を測定する方法はあるのか?」と質問してみました。回答は次のようなものでした。

 サウナの温度は80~90℃と想定します。市販の温湿度計は一般環境を測定するためで高温での計測には適していません。そもそも、湿度センサには温度特性があり高温や極低温になると誤差が大きくなります。精度表記に±3% at23℃など表記がされていますが、この at23℃がクセモノなのですね。おそらく±7~8%まで膨らむ物と思われます。

  この説明と一緒に、マイスターは高温環境下で絶対湿度・相対湿度の測定が可能な商品を教えてくれました。それがこちらです。

  高温環境での計測ができる湿度計。

高精度デジタル温湿度計 HP32

 

「短時間の測定では透明ケースに入れて熱切りをし測定するのもノウハウですね」とのことで、これを使えばサウナ室での湿度測定ができそう、と思ったところで一つひっかかることがありました。この商品、測定範囲200℃・動作環境60℃と書いてあるのです。そこで、どういうことなのか再度質問をしてみました。

 マイスターのお返事によると、センサ部が200℃、本体(表示部)が60℃まで対応、ということだったのです。本体は樹脂ケースに入れればすぐに高温にはならないけれど、基本的には本体はサウナ室には入れずに延長ケーブルを使ってセンサ部だけをサウナ室に入れる方法で測定が可能とのことでした。

 本体部分が60℃までしか対応していないということは、つまりこの湿度計をサウナ室に持ち込んで計測することはできないということです。市販の湿度計は単位が%で、相対湿度を測るものばかりでした。マイスターが紹介してくれた湿度計をサウナ室に持ち込むことができないとなると、個人的にサウナ室の絶対湿度を測ることは不可能、ということになります。絶対湿度を測定するのは無理だということがわかりました。

 では、相対湿度の測定はどうでしょうか。この時使っていた2種類の湿度計について、信頼できる測定値が出ていると思うか、再びマイスターにきいてみました。

 

相対湿度ならサウナ室で測ることができるか?

 あくまで個人的な測定を試みたく、本体を持ち込むことができないとすると使うことができないと伝えた上で、高温環境下で使える相対湿度を測る湿度計はないかきいてみました。

 「個人的な動機で計測を行うのは立派なことです。ぜひ、継続していただきたいと思います」という激励と共に、マイスターは使っていた2種類の湿度計の仕組みを教えてくれました。

 「今回の湿度計は両方とも伸縮を利用した湿度計になります。原理は蚊取り線香のような形状の金属のバネの片側に湿度によって伸び縮みをする高分子膜が張ってある構造です。湿度によってバネが伸び縮みする力は針の回転に結びつけています。出来ましたら違う原理の湿度センサタイプを購入し比較することをお薦めします。これはこれで面白い結果が得られるでしょう。ちなみに湿度センサにも2種類あり抵抗式・容量式になります。抵抗式は低湿が計れないので容量式を選んでください。サウナの中に濡れたタオルがない・人が少ない場合は10%を切る事でしょう。」

  違う原理の湿度センサタイプで比較、湿度計には測り方に種類があるようです。マイスターの言葉をヒントに、湿度計の仕組みを更に調べてみました。

 

どの湿度計なら測定できるか?

 マイスターの回答で、 その時使っていた市販の湿度計は「バイメタル式」であることがわかりました。違う原理の湿度センサタイプの湿度計の購入をすすめてもらったので、湿度計の測り方を調べてみたところ、主に3つの種類があることがわかりました。

 湿度計の種類をエンペックス気象計株式会社のWebサイトをもとに整理し、サウナ室内での測定の可否を検討しました。

サウナと湿度計の種類

 

 結論としては、バイメタル式でかつ20%未満の低湿度も測定できるものを使用するしか方法はなさそうでした。しかしながらマイスターに相談し、調べていく中で、市販の湿度計は高温環境下では誤差も大きく、バイメタル式の湿度計一つを使っても正確な数値の測定は難しいということがわかりました。

 とはいえ、針は動いていますし、サウナ室によって測定結果に差も出ているので、正確な数値を測定することは難しいということを頭に入れつつ、あくまで傾向を見るというつもりで、このバイメタル式で20%未満も計測できる湿度計を使って実際のサウナ室の相対湿度をいろいろなサウナ室で測定してみることにしました。次回はその実際の測定結果をまとめます。

 

参考資料

株式会社第一科学、「温度×湿度×圧力=」

エンペックス気象計株式会社、「温度・湿度計Q & A」