Saunology -Studies on Sauna

Saunology -Studies on Sauna-

サウナについて調べ、考え、まとめるブログ。知れば知るほど、サウナにはまだまだ謎がある。その謎を解き明かしていくために、サウナについて様々な角度から考察してサウナ理解を深めます。身体で感じるだけでなく、頭で仕組みを考えるとサウナはもっと楽しい。サウナ好きがサウナをもっと知りもっと楽しむために始めたサウナ考察ブログ。 お問合せは下記までどうぞ。 saunology37@gmail.com

サウナと湿度 湿度と温度

 「サウナと湿度 そもそも湿度とは」で見たように、湿度は「空気が乾いているか湿っているかを示す度合」のことでした。湿度を考える際には、その空気の温度についても考慮する必要があります。今回は、湿度と温度の関係について見ていきます。

 

湿度の単位

 湿度と温度の関係に入る前に、湿度を表す単位について確認しておきます。「サウナと湿度 そもそも湿度とは」で見たように、湿度には相対湿度と絶対湿度、2種類の表し方があります。それぞれどのような単位で表すか、まとめていきます。

 まず相対湿度は空気中の水分量の割合ですから、%で表します。一般的に「湿度」と言えば相対湿度を指し、「湿度○○%」という言い方は多くの人にとって自然でしょう。

 では絶対湿度の単位はどうでしょうか。『ブリタニカ国際大百科事典』には「絶対湿度は1㎥中の水蒸気量をグラムで表し」*1と書かれていました。「40g/㎥」といった形です。辞典・辞書の定義では単位をg/㎥としているものが多く、湿度計メーカーも単位はg/㎥で説明している場合が多いです。しかし、学術論文などを見ると、1㎥中ではなく空気の重さを単位とし、1kgの空気中の水分量、つまり「40g/kg」で書かれているものもあります。

 絶対湿度の単位は、㎥とkg、両方使うことがあるのです。学術論文などでkgを使うことが多いのは、kgで考えた方がより正確だからです。なぜかと言うと、空気は温度によって膨張するため、「1㎥の空気」の質量は一定ではなく、温度によって若干異なるからです。温度が高くなり空気が膨張すると、1㎥におさまる空気は軽くなります。薄くなる、とイメージするとわかりやすいかもしれません。温度が大きく異なると、同じ「1㎥」でも空気の質量が違ってしまうのです。しかし1kgあたり、という考え方であれば、温度による膨張とは関係なく、重さ1kg中の水分量が何gか、ということを考えられるので、より正確だと言えます。

 とはいえ、1㎥の空気と1kgの空気には、温度による膨張を考慮してもそれほど大きな差はありません。例えば、20℃の空気1㎥は1.199kg、100℃の空気1㎥の空気は0.7671kgです*2。20℃と100℃で比較をしても、その差は0.432kgです。学術論文や医学系の分析に使うのでなければ、無視しても差し支えない差だと言えるでしょう。このブログで行う考察にはそこまで精緻な数値を用いる必要はないと考えられるので、一般的に使われている㎥の方を使うことにします。

 

湿度と温度の関係

 ある空気がどのくらいの量の水分を含むことができるかは、温度によって異なります。その空気が含むことのできる水分の最大の量を飽和水蒸気量と言いますが、温度が高くなるほど飽和水蒸気量は増えていきます。

サウナの湿度と温度の関係

 

 このように、同じ相対湿度50%でも温度が異なると実際に空気中に含まれる水分量は異なります。 相対湿度が同じ50%でも、絶対湿度である実際に含まれる水分量(g/㎥)は温度によって異なるということです。温度が高くなればなるほど、飽和水蒸気量の数値は高くなる、つまり温度が高いほどたくさんの水を空気中に含むことができるということです。

 ということは、温度の高いサウナ室では相対湿度の数値が低くても、絶対湿度である水分量は多いと考えらえるわけです。

 

湿度100%をこえると?

 ところで、飽和水蒸気量を空気中の水分が超えてしまうとどうなるのでしょうか。空気中に含むことができなくなって、水は目に見える形であらわれます。飽和水蒸気量をこえて水分が目に見える形であらわれることを「結露」と言います。冬に窓に水滴がついたり、冷えたグラスの周りに水滴がついたりするのがその例です。高い温度環境では、飽和水蒸気量の値が大きいので結露は起こりにくいわけです。逆に温度が低いと、飽和水蒸気量の値が小さいので結露しやすくなります。冬に窓が結露するのはそのためです。寒い日の窓の結露は部屋の中は暖かいけれど外気が冷たく、窓が冷たいために生じます。暖かいところで沢山水分を含んだ空気が冷たい窓に触れてほとんど水分を含むことができない冷たい空気になってしまうのです。そうすると、持ちきれなくなった水蒸気が水滴になってあらわれるわけです。寒い日の窓の結露を見ると、温度によって飽和水蒸気量が異なることが実感できます。

 しかしこの結露、高温環境であるサウナ室でも起こると考えられます。例えばロウリュの時に身体についているのは汗だけではなく結露によるものだと言われています。ロウリュによる結露がどういうメカニズムで起こっているのかということについてはロウリュが熱い仕組みなども含めて別の記事で詳しく見ていきます。

  

 湿度について考える時には温度との関係を考慮する必要があることがわかりました。次回は、サウナ室での湿度の体感について見ていきます。

 

参考文献

『ブリタニカ国際百科事典 小項目辞典』 、(最終閲覧日:2019年2月19日)

*1:『ブリタニカ国際百科事典』

*2:空気の重さを計算できるサイトで、相対湿度を50%として計算した結果。