Saunology -Studies on Sauna

Saunology -Studies on Sauna-

サウナについて調べ、考え、まとめるブログ。知れば知るほど、サウナにはまだまだ謎がある。その謎を解き明かしていくために、サウナについて様々な角度から考察してサウナ理解を深めます。身体で感じるだけでなく、頭で仕組みを考えるとサウナはもっと楽しい。サウナ好きがサウナをもっと知りもっと楽しむために始めたサウナ考察ブログ。 お問合せは下記までどうぞ。 saunology37@gmail.com

サウナは何浴?

風呂の始まりはサウナ?

 人はいつからどのようにして風呂に入るようになったのでしょうか。国を問わず、古代の入浴についての詳細は、はっきりとはわかっていません。人類の歴史を遡れば、旧石器時代初期の人類は主に洞窟を住居としていました。食事のため、あるいは暖をとるために火を使っていれば、焚火の熱が洞窟にこもることもあったでしょうし、火をおこしていた木や石に水がかかれば蒸気が発生したでしょう。

 こうした洞窟での発汗浴について山内昶・山内彰は「多分これが風呂の始原だったのではないかと推察される。風呂の起源は洞窟での熱気浴ないし蒸気浴などの発汗浴だったはずである」*1と言います。人類の風呂の起源は蒸気浴、つまりサウナだったと言えるかもしれません。

 

 サウナとは?

 そもそもサウナの定義とは何でしょうか。『日本大百科全書』の「サウナ」の項には次のように書かれています。

 水や湯の風呂(ふろ)ではなく、蒸気や熱気の風呂。(中略)とくにフィンランドの蒸し風呂をサウナとよぶ*2

つまり、

 ・広義のサウナ:蒸気や熱気を用いた蒸し風呂の総称。
 ・狭義のサウナ:フィンランド式の蒸し風呂。

と言うことができるでしょう。ここでは広義の意味で「サウナ」という言葉を使いたいと思います。

 

 更に言葉を整理すると、日本語の「風呂」という言葉の起源も、実は「蒸し風呂」で、お湯に浸かる形式は「湯」と呼ばれて区別されてきました。もともと蒸し風呂を意味した「風呂」に入ることもお湯に浸かる「湯」に入ることも表すことができる、広く入浴という行為を示す言葉に「沐浴」があります。「沐」は髪を洗うこと、「浴」は身体を洗うことです。沐浴には様々な種類があります。

 最近ではサウナというと、サウナ・水風呂・外気浴というセットで語られがちですが、これらは何浴だと言えるのでしょうか。『風呂とエクスタシー』において吉田集而が沐浴の種類を物理的に分類した図をもとにサウナの位置づけを整理すると、以下のようになります。 

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サウナは何浴?

 沐浴の種類とサウナ・水風呂・外気浴を照らし合わせると、次のように整理できます。

・蒸気浴:サウナ室に入って汗をかく。

・冷水浴:サウナ後に水風呂に入る。テントサウナなどの後に湖や川に入る。

・冷気浴:サウナ後に露天で休憩する、いわゆる外気浴。

・雪 浴:サウナ後に雪にダイブする。日本なら白銀荘やテントサウナ後に可能。

 

 サウナ室に入った後、水風呂に入るのか、外で風を浴びるのか、雪に飛び込むのか、いろいろなバリエーションがありますが、サウナ室で汗をかくという部分は「蒸気浴」に分類され、これは世界各地に古くからある沐浴のスタイルの一つです。

  サウナと言うとフィンランドのサウナやロシアのバーニャを「本場のサウナ」とイメージしがちですが、広義のサウナは「蒸気浴」全般を指し、これはフィンランドやロシアに固有のものではなく、洋の東西を問わず世界各地にある沐浴のスタイルの一つなのです。そして、日本にも長い蒸気浴の歴史があります。

 次回は日本の蒸気浴の歴史はどのようなものか、どんな蒸し風呂がいつ頃から存在していたのか、紐解いていきます。

 

参考文献

『日本大百科全書(ニッポニカ)』、小学館、JapanKnowledge(閲覧日:2018年12月26日)

山内昶・山内彰(2011)『風呂の文化誌』、文化化学高等研究院出版局

吉田集而(1995)『風呂とエクスタシー 入浴の文化人類学』、平凡社

 

*1:山内・山内、p.74

*2:『日本大百科全書』(ニッポニカ)